なぜ夜不安で眠れなくなるのか?|脳と心のしくみ

昼間は気が張っているのに、布団に入った途端いろんな不安が頭に浮かんできて、なかなか眠れない…実はこれ、あなただけじゃありません。夜はどうしても心が敏感になりやすい時間帯なんです。
不安の理由と原因
交感神経のスイッチが切れず頭が冴えてしまう
本来、夜は副交感神経が優位になり、リラックスモードに入るはず。でも、仕事や人間関係で心がざわざわしたままだと、交感神経がオンのまま。気持ちが落ち着かず、眠れない状態が続きます。
寝る前にスマホで情報を詰め込みすぎる
SNSやニュースの見すぎで、脳がずっと刺激を受けている状態に。脳は「まだ活動時間だ」と勘違いしてしまい、眠りスイッチが入らなくなります。
また、スマホやパソコンのブルーライトで脳がまだ「昼」と勘違いしていると、リラックスしにくくなります。疲れがたまっているときほど、ネガティブな考えがぐるぐる回りやすくなるんです。
ひとり時間が自己反省や後悔を呼び起こす
夜は静かでひとりきりになる時間。その静けさが、自分と向き合う時間をつくってしまいます。日中は気づかないようにしていたモヤモヤや後悔や不安が、ここで一気に顔を出すんです。
脳のネガティブ優先回路が夜に強く働く
脳には「危険」を優先的にキャッチするしくみがあります。暗くて静かな夜は、五感から入るポジティブな刺激が少ない分、不安やネガティブに集中しやすくなります。
疲れているのに気力で乗り切ろうとする思考クセ
明日も頑張らなきゃ、ちゃんと寝なきゃと思うほど、逆に眠れない…という負のループ。がんばり屋さんほどハマりやすい思考パターンです。
よくある「夜の不安あるある」

夜になると浮かびがちな、あるある不安を整理してみました。「あ、これ私かも」と思ったら、それは眠る前の心のクセみたいなもの。
明日の仕事や学校のことが気になってソワソワ
大事な予定があると、うまくできるかな?って不安になりがち。考えすぎて眠れない…はよくあります。
人間関係のモヤモヤが頭をぐるぐる
友達の一言、職場の空気…なんであんな言い方されたんだろう?と考え出すと止まらない。
あの時あんなこと言わなきゃよかったっていう後悔
昔の失敗や発言が、突然フラッシュバックしてきて眠れない。自己嫌悪って夜に襲ってくる代表選手。
お金や将来のことが急にリアルに感じて不安になる
現実は何も変わってないのに、なぜか将来がめちゃくちゃ不安に感じる。特に寝る前は「もしも」の妄想が暴走しがち。
体調の違和感が「もしかして病気…?」に変わる
昼間は気にしてなかったのに、夜になると「あれ、これってヤバい症状?」って不安が増す。
SNSを見た後なんとなく自己嫌悪
楽しそうな他人の投稿を見て「自分、何してるんだろう」って落ち込んでしまう。スマホを置いたあとにくる孤独感…。
孤独感が押し寄せて、なんで自分だけ…と思う
急にひとりでいることが寂しくなって、不安が大きくなることも。人恋しさも夜に強くなります。
特に理由がないのに、なぜか涙が出る
疲れやストレスがたまって、感情のふたがポロっと外れる瞬間。理由なんていらない、ただ涙が出ることもあるんです。
夜の不安をやわらげる「1分でできる安心ワーク」

もう寝なきゃいけないのに、頭の中が忙しすぎて眠れない…そんなときにおすすめなのが、1分でできる安心ワーク”です。
これ、私が実際にカウンセリングでも紹介している方法なんですが、特別な道具も知識も不要。たった1分で、不安のループから抜け出せる簡単ワークです。
5・4・3・2・1のグラウンディング
ステップ1:布団に入ったまま、目を閉じて深呼吸をひとつ。
ステップ2:5つ「見えるもの」を心の中で言う。
(天井、カーテン、スマホの充電器、枕、手の甲…何でもOK)
ステップ3:4つ「聞こえる音」を意識する。
(外の車の音、冷蔵庫の音、自分の呼吸、部屋の静けさ)
ステップ4:3つ「感じるもの・触れているもの」を探す。
(シーツの感触、パジャマの肌ざわり、布団の重み)
ステップ5:2つ「香り(匂い)」を感じる。
(洗剤の香り、夜の空気、髪のシャンプーの香り)
ステップ6:1つ「今、口の中に残っている味」を確かめる。
(歯磨き粉の味、夜のお茶の後味など)
ステップ7:最後にもう一度深呼吸。
「今この瞬間に自分がいる」と、ゆっくり意識を戻します。
このワークは、「今ここ」に意識を集中させて、不安や悩みのループから心を引き離してくれます。夜の不安がぐるぐる回り始めたときは、ぜひ試してみてください。
安心感を育てる習慣

夜の不安を減らすには、日ごろから安心感を育てることも大切です。ポイントは、「小さな安心体験」を毎日の中で積み重ねること。
頭の中のモヤモヤを紙に書き出す
人は頭の中だけで考えていると、不安がどんどん膨らんでいきます。でも紙に書き出すと、意外と「あれ、これだけだった?」と落ち着けることも。
方法は簡単
- 頭に浮かんでいることを、箇条書きでメモ帳やノートに書く。
内容の整理や正解は不要。思いついた順でOK - 書き終えたら、紙をそっと裏返して「今夜はここまで」と一度区切ってみましょう。
安心スイッチを入れるルーティンの力
寝る前のお決まりをつくると、体も心も「もう寝る時間だ」とスイッチが入りやすくなります。この香りをかぐと安心する、この音楽を聞くとほっとする、そんな条件づけを使って、脳に今はリラックスしていい時間だと教えてあげるのも効果的です。
たとえば
- お気に入りのアロマを枕元にシュッとひと吹き
- 静かなピアノや自然音のBGMを1曲だけ再生
- お気に入りのカップで白湯をゆっくり飲む
- お気に入りのパワーストーンをそばに置く
1分でできるおまじないのような行動を、毎晩くり返してみてください。少しずつ、安心スイッチが自然に入るようになっていきます。
寝る前にやらない方がいいこと

逆に、寝る前にやりがちなことで、かえって不安を増やしてしまうNG習慣もあります。
スマホやパソコンをずっと見る
SNSやニュースを夜遅くまで見ていると、刺激が多すぎて脳が休まりません。不安なニュースや人の投稿を見てしまうと、気分が落ち込みやすくなります。
寝る直前まで仕事や勉強のことを考える
明日の予定や締切のことばかり考えていると、脳が“休憩モード”に切り替わりません。寝る1時間前くらいからは、意識的に仕事や勉強から距離を置いてみてください。
カフェインやお酒のとりすぎ
コーヒーやエナジードリンクはもちろんですが、お酒も実は睡眠の質を下げやすいです。夜はカフェインレスやハーブティーがおすすめ。
不安を手放して眠りにつくためのヒント

夜、不安で眠れないときって、「どうにかして早く寝なきゃ」って思えば思うほど、目が冴えていきますよね。ここでは、そんなときの考え方や、気持ちの整え方についてご紹介します。
完璧に寝ようとしなくて大丈夫
ちゃんと○時までに寝て、×時間は寝ないと…みたいに、自分にプレッシャーをかけていませんか?でも、毎晩そんな理想通りに眠れる人なんて、ほとんどいません。
むしろ、寝られない夜もあるよね、くらいの感覚でいた方が、気持ちがラクになるし、かえってスッと眠れたりします。
眠れない夜を失敗と考えるのではなくて、そういう日もあるって受け止めるだけで、心がゆるみますよ。
「今夜も不安かも」と思ってもOK
不安って、無理に消そうとすると、どんどん存在感を増してくるんです。だから、「ああ、また不安きてるな」って、ただ気づいてあげるだけでもOK。
「不安がある=眠れない」と決めつける必要はなくて、不安があるけど横になってるだけでも休息になってる、と思っていいんです。
そもそも気にしすぎないって、いちばん効果があったりします。
寝つきが悪い夜はあきらめもひとつの選択
布団の中でゴロゴロ1時間…。そうなるくらいなら、思いきっていったん起きてみるのもアリです。
お気に入りの本を読む、ゆっくりストレッチをする、あたたかい飲み物を飲む、など休息っぽい行動をしてみましょう。
寝なきゃ!が頭にあるうちは、なかなか眠れません。いったんその呪縛を手放して、眠くなってからまた布団に戻ろう…くらいの感覚でOKです。
まとめ|不安な夜は安心スイッチを見つけよう

夜の不安は、誰にでもあること。でも、「私はどうせ眠れない…」とあきらめないで。
不安のループにハマってしまったら、1分でできる安心ワークや小さな安心習慣を取り入れて、「今ここ」の自分をそっと守ってあげましょう。
完璧じゃなくて大丈夫。自分の気持ちに優しく寄り添うことが、明日の元気につながります。今日の夜から、ぜひ試してみてください。
